シンガポールは優れたビジネス環境に加え、治安・インフラ・言語・教育の質においても高い評価を得ている世界トップクラスの国際競争力を持つ国家です。また多民族国家であることから、就労・生活面においてグローバル環境に身を置くことができ、異文化理解や商習慣の違いを学ぶことができます。そして、グローバルなスキルを身につけることができ、かつ、真のグローバル人材として成長するために必要な環境が整っています。
そうした理由から、海外で働きたいと考えている方に人気の国の一つです。また、治安が良くて観光しやすい常夏の国として、海外旅行先としても人気を集めています。
こちらの記事では、シンガポールの基本情報についてお伝えします。
目次 |
1. シンガポール基本情報2. シンガポールの治安はどうなの?3. シンガポールの食生活について4. 気になる住居情報5. もしもに備える医療事情6. シンガポールの交通機関7. 携帯電話、Wi-Fiの入手方法8. 子供の教育事情(小中学校)9. 就労ビザとワークパーミット取得について10. シンガポール渡航前に準備すること |
1.シンガポール基本情報
マレー半島の南端に位置し、50以上の島からなる都市国家です。緑に調和した美しい街並みから、庭園都市と形容されます。日本との時差は-1時間。日本からの飛行時間は約7時間です(直行便)。
● 面積: 約720 km2 (東京23区と同程度)
● 人口: 約570万人 (国民:62.8%、永住権保持者(PR):8.6%、PRを保有しない外国人:30.2%)
● 民族: 中華系76%、マレー系15%、インド系7.5%
● 言語: 国語はマレー語。公用語として英語、中国語、マレー語、タミール語。
● 宗教: 仏教、イスラム教、キリスト教、道教、ヒンズー教
2.シンガポールの治安はどうなの?
シンガポールは国をあげて治安維持に努めているため、世界の中でもトップクラスの治安のよさを誇っています。治安や安全・犯罪についての指針となる世界平和度指数ランキング(2021年)では、シンガポールは163カ国の中で堂々の11位にランクインしており、日本(12位)と同様の高い評価となっています。
また、外務省の安全情報によるデータを見ても、危険情報及び感染症などのリスクについての発表もなく、安心して渡航できる国だと言えます。実際、シンガポールでは年間犯罪件数が日本以上に少なく、非常に治安が安定している国だということが分かります。
最新情報については、外務省の海外安全情報サイトをご確認ください。
3.シンガポールの食生活について
多民族が暮らすシンガポールでは、中華料理・インド料理・マレー料理の本格的な味を楽しめます。シンガポールでは共働きの家庭が多く、あまり自炊をする文化がないことから外食文化が深く根付いています。飲食店の屋台や店舗が集まったフードコートやホーカーセンターが無数に存在し、レストランより安く食事を楽しむことができます。また、日本食レストランが急激に増加しており、日本食に困ることはありません。
[外食]
ホーカー:
安価に食事をすることのできるホーカーセンター(屋台)が至る所にあり、共働きが一般的なシンガポールでは多くの人が利用しています。
中華、インド、マレー、ウエスタン、日本食や韓国料理などバラエティ豊かな食事を1食1人 S$4~10程(320~800円程)で楽しめます。
レストラン:
シンガポールは、ワールドクラスのレストラン、ミシュランの星を獲得したレストラン、そして世界各国のさまざまな料理を楽しめるレストランが集結する食の宝庫です。
日本食のお店も多く、日本と同等のクオリティおよびサービスを提供しているレストランもたくさんあります。
ただ日本より値段が2~3倍することもあります。
ラーメン1杯(税金・サービスチャージ込み)S$20位(約1,600円)、またアルコールは日本よりも高く、ビール1杯 S$10程(約800円)かかります。
また、レストランで食事をした場合、7%の消費税に加え10%のサービスチャージが加算される為、日本よりもかなり高く感じます。
[テイクアウト・デリバリー]
一人で食事を簡単に済ませる場合は、食事をテイクアウト・デリバリーするという方法もあります。Deliveroo、Food Panda、Grab Foodといったデリバリーサービスの数も豊富です。アプリをダウンロードすれば、自宅に居ながら有名店の食事を自宅まで届けてくれます。
[自炊]
自炊する場合の食材調達は、日系スーパー・ローカルスーパー・ウェットマーケットを使い分けて利用している方が多いようです。
日系スーパー:価格は日本で購入する値段と比べて1.5倍以上するものが多く割高ですが、高品質なものを多く取り揃えています。例えば、明治屋、伊勢丹スコッツ店スーパーマーケット、ドン・ドン・ドンキなどがあります。
ローカルスーパー:価格は手頃で庶民的。ヨーロッパやアメリカからの輸入品も充実しており各国の食材を購入することができます。例えば、FairPrice(フェアプライス)、Cold Storage(コールドストレイジ)、Giant(ジャイアント)などです。
ウェットマーケット(市場):魚や肉、野菜、果物など生鮮食品を取り扱う市場。
スーパーよりも新鮮、安いこともあって、地元の人でいっぱいです。
4.気になる住居情報
日本人がシンガポールに住む場合、「コンドミニアム」 または 「HDB」をレンタルするのが一般的です。
①コンドミニアム
高層でプールやジム、テニスコートなどの共用施設が充実した高級マンションです。セキュリティもしっかりしており、安心です。クーラー、冷蔵庫、洗濯機、ベッド、ソファ、テレビなど生活に必要な家具が付いていることが多いです。
【コンドミニアムを借りる場合の1ユニットの値段の目安】
スタジオ:S$1,800〜、 2ベッドルーム:S$2,000〜、 3ベッドルーム:S$3,500~
【シェアで借りる場合の一部屋の値段の目安】
マスタールーム:SGD1,000~2,000、 コモンルーム:SGD800~1,500
★値段は立地・築年数などにより異なります。
・S$100~300ぐらいの光熱費(PUBと呼ばれる)が、家賃に含まれている物件と、含まれていない物件があるのでご注意ください。
・入居する際は、先1ヶ月分の家賃+1ヶ月分の保証金(デポジットと呼ばれ、退去時に返金)を支払います。
・不動産エージェントを利用した場合は、先1ヶ月分の家賃+1ヶ月分の保証金+エージェント代(月家賃の半額~1ヶ月分)がかかります。
②HDB (公営住宅)
施設はコンドミニアムに劣ることも少なくありませんが、立地が優れていたり、スーパーや食堂など日常生活に必要な施設が敷地内にあることが多く、非常に便利な物件が多いのが特徴です。
【HDBを借りる場合の1ユニットの値段の目安】
2ベッドルーム:S$1,800〜、 3ベッドルーム:S$3,000~
【シェアで借りる場合の一部屋の値段の目安】
マスタールーム: SGD800~1,200、 コモンルーム: SGD600~1,200
※その他、PUB(光熱費)がSGD50~100くらい追加されることもあります。
シンガポールの賃貸物件は、日本とは違い、各戸ごとにオーナーが異なるものがほとんどです。基本的には、物件の管理は個人オーナーが直接、あるいは賃貸の際に依頼したエージェントが中間に立つことがほとんどです。住居探しは以下の方法があります。
不動産情報サイトで検索する
英語でのやり取りが可能な方は、不動産情報サイトで物件を検索し、気に入った物件があればエージェントにコンタクトを取り、内覧日を予約します。ユニット(1軒丸ごと)タイプからシェア用の部屋貸しタイプまで、幅広く探すことが出来ます。よく使われているサイトはPropertyGuruや99.coです。
不動産仲介業者
シンガポールには日系不動産会社が多く進出しているので、日本人スタッフの方に相談しながら物件を探すことができます。ただし不動産会社によっては、駐在員向けの高額物件のみを扱うところもあるため、複数会社を比較してみてください。
住居契約で日本と大きく異なる点としては、賃貸契約の2年縛りがあげられます。転勤や会社がシンガポールから撤退する場合などを除き、自己都合で、契約を打ち切ることはできません。家が気に入らないからと言って、簡単に引っ越すことはできないのです。賃貸契約を結ぶ際には、契約書のチェックは入念に行いましょう!
5.もしもに備える医療事情
シンガポールでは基本的に初診の段階から専門医(Specialist)に診てもらうことが少なく、基本的にはまず一般総合医(General Facilitator)の診察を受け、こちらでの対応が難しいと判断された場合は専門医にリファーされます。
※風邪などでクリニックに行った場合の診察料
ローカルクリニック:S$50
日系クリニックへ:S$100〜250
診察料に加え、薬代などが発生します。
また検査などをすれば検査代などが別途発生します。
日系クリニックには、ジャパングリーンクリニック、ラッフルズジャパニーズクリニック、日本人会クリニック、日本メディカルケア、ニチイインターナショナルクリニックなど、シンガポールにも多数ありますので安心です。
その他(歯科、美容院代等):
ローカルクリニックの場合、いずれも値段は日本とあまり変わらないのですが、日系歯科クリニック・美容院の場合、割高になります。
※日系歯科クリニック
チェックアップ&クリーニング S$100~130
レントゲン S$90~100
シンプルな虫歯治療1回 S$200~
※日系美容院
カット(女性)S$70〜100 (男性)S$50〜80
カラーS$100~150
パーマ S$100~250
トリートメント S$80~150
6.シンガポールの交通機関
シンガポールの公共交通機関は、楽で、安くて、安全で、時間通りに運行しています。利用する時は、チャージ可能なプリペイド式カードのRFID EZリンクかネッツ・フラッシュ・ペイ・カードを購入すると便利です。これらのカードは、路線バスとマス・ラピッド・トランジット(MRT)で使用することができます。
またタクシーの料金も日本に比べて非常に手頃な金額となっていて気軽に利用できます。
路線バス S$0.92~2.17(乗車区間により異なる)
電車(MRT) S$0.42~1.67(乗車区間により異なる)
タクシー 初乗りS$4.05*1km毎にS$0.7 (タクシー会社、車の車種により値段が異なる)
最近ではGrab、Gojeck、TADAまたComfortDelGro等の配車アプリを利用して、どこでも簡単に一般車・タクシーを呼ぶことができるので、料金は車種や時間帯によって異なりますが、多くの方が利用しています。
7.携帯電話、Wi-Fiの入手方法
シンガポールに住むことになった場合、現地での携帯電話やWi-Fiについて。
通信会社との契約というと難しいイメージがあるかと思いますが、シンガポールの場合でも手続きは日本とはそれほど変わらず、むしろSIMフリー携帯電話が前提であることやプリペイドのSIMがあることからプランの変更等が容易です。
携帯電話
携帯電話を使用する際には、通信会社と契約しSIMを入手します。携帯端末自体は自身でSIMフリータイプのものを用意するか、通信会社にてSIM契約をする際に購入することも可能です。(シンガポールの携帯端末は全てSIMフリーです)
※使用中の携帯電話がSIMフリータイプであれば、SIMカードを契約することでそのまま使用できますが、日本で購入したものですとSIMロック解除が必要な場合があるのでご注意ください。
シンガポールの通信会社には、Singtel(シングテル)、StatHub(スターハブ)、M1(エムワン)といった大手の大手通信会社が3社あります。キャリアを決めたら、SIM契約をプリペイド式・ポストペイド式(月額払い)のどちらにするかを選びます。
【プリペイド式】 短期滞在向けで、期間に縛りがない。最初の有効期限は半年を設定しているものが多く、その後はTop Upで番号の延長利用が可能。購入した分だけ利用でき、解約の必要がない。ネットを利用せず、電話番号だけを持つことが可能。
【ポストペイド式】 基本的に2年契約。2年契約をすると、携帯電話本体が割引価格で購入できる。途中で解約すると解約料金が発生する。プランにもよるが、大体月額S$50程。ポストペイド式はほぼ日本の契約と同じです。
Wi-Fi契約
シンガポールでは公共のWi-Fi環境が整っており、カフェや大型商業施設内ではフリーWi-Fiへの接続ができます。自宅でPC等を利用するためにWi-Fiを準備する場合も携帯電話と同様に各通信会社と契約をします。(Singtel(シングテル)、StatHub(スターハブ)、M1(エムワン)の3社があります。)
携帯電話とインターネットの契約をまとめることでお得なプランもありますので各社比較してみてください。
いずれも、日本と比較しても通信スピードに不自由はなく、むしろ通信費が安いのが特徴です。
8.子供の教育事情 (小中学校)
お子様と一緒にシンガポールへ移住される際は、学校選びも重要な要素になるのではないでしょうか。
シンガポールの小中学校については、インターナショナルスクール、日本人学校、ローカルスクールの3つの選択肢があります。下記は、小中学校についてですが、未就学児の場合でも日系の幼稚園や保育園が数多くありますので、いろいろと調べて比較検討してみてください。
インターナショナルスクール
シンガポールには、英国、米国、豪国、アジア系など、それぞれの特徴を持ったインターナショナルスクールが数多くあります。学費は平均約S$20,000~30,000 / 年となりますが、近年では比較的お手頃な価格で通うことができるインター校も増えてきています。
日本人学校
シンガポール日本人学校は、小学部(チャンギ校、クレメンティ校)と中学部があります。
日本国内と同じ教育を提供している私立学校となります。学費は平均約S$8,500 / 年かかります。
ローカルスクール
ローカルスクールは、日本で言うところの公立の学校を指します。授業では英語が使用され、それ以外にもマレー語や中国語、タミル語などを選択するカリキュラムがあります。外国籍の場合、学費は平均S$8,000 / 年程度
(シンガポール国籍保持者と比べると非常に高い)
※その他、入学金や施設使用料も必要
※ローカルスクールは、シンガポール国籍保持者→永住権保持者→外国人の順に入学優先制度あり
9.就労ビザとワークパーミット取得について
シンガポールへの入国にあたって観光ビザ、学生ビザ、就労ビザ、帯同家族ビザ等様々なビザがありますが、シンガポール国内で就労するにあたっては原則、就労ビザ(EP、Spass、Work Permit)の取得が必要となります。
*一部例外有:DPの方もWork Permit (WP)を取得することで就労が可能です。
「就労ビザ」取得の一般的な流れ
1. 企業からの内定を貰う (内定受諾書への署名)
2. 企業がMOMへ就労ビザ(EP/Spass/Work Permit)を申請する
3. MOMよりIPAレター(In-Principle Approval Letter)を受領
4. カード発行手続き。MOMを訪問し、顔写真と指紋登録を行う
「就労ビザ」 取得の際にご自身で用意が必要な書類
1. パスポート
2. 最終学歴の卒業証明書(英文)
3. パスポート用の写真
※詳細についてはMOM公式サイトをご確認ください。
Work passes (mom.gov.sg)
10.シンガポール渡航前に準備すること
内定を受諾し、シンガポールへの渡航が決まったところで、具体的な準備が必要になってきますね。
実際に日本からシンガポールへの渡航準備をした経験から、To DOリスト式に準備内容をご紹介したいと思います。
To DO1:就労ビザ取得のための手続き
シンガポールで就労するには「就労ビザ」の取得が必要です。ビザ申請においては、英文卒業証明書が必要となりますので、こちらは選考状況が佳境に入りましたら、取り寄せを進めておくと良いかもしれません。
To DO2:日本国内 役所関連の手続き
日本を離れる際、住民票の除票の手続きを取ることができます。住民票を除票すると健康保険などの社会保障からは離脱する扱いとなるため、定期的に日本の病院へ通院の必要がある方などは、住民票をそのままにして渡航をする方もいます。その場合、ご自身で国民健康保険の支払いが必要となるため、まとまった日本円での資金をご用意することをおすすめします。また、国民年金については、海外での就労の場合は支払いを停止することも可能ですが、任意で加入し支払いを継続する方もいます。
To DO3:在留届の提出
外国に住所または居所を定めて3カ月以上滞在する方は、在留届の提出が義務付けられています。シンガポールへ渡航が決まったら、在シンガポールの日本大使館へ在留届の提出をしましょう。危険情報や日本との渡航に関する注意事項などの連絡が来ます。
オンラインにて在留届の提出が可能です。外務省オンライン在留届サイトをご確認ください。
To DO4:渡航用の荷物の準備
シンガポールは日系の店舗やスーパーマーケットなどが多く進出しており、簡単に日本製品を手に入れることができます。そのため、単身者であればスーツケース 一つで渡航出来てしまうほど、なんでも買い足せるので本当に困ることが少ないです。
ただその中でも日本から持ってきたほうが良いと思うものをご紹介します。
ビジネスウェア・・・常夏のシンガポールでのビジネスシーンではスラックス&シャツにノーネクタイといった比較的カジュアルな格好が許容されていますが、スーツ着用の日も出てくると思います。現地テーラーで仕立てることも出来ますが、スーツ、ジャケット、スラックス、ワイシャツは好みのデザインもあると思いますので用意しておくと良いでしょう。
薬&サプリメント・・・日常的に薬を服用されている方は勿論ですが、市販の常備薬や普段飲み慣れているサプリメント等は日本から持参すると安心です。
化粧品・・・日系化粧品メーカーの製品はデパートやショッピングモールで買うことが出来ますが、価格が割高ですので定期的に購入している製品はストックを持参することをお勧めします。
To DO5:渡航費の準備
入社して最初の給与日は、入社日によっては満額給与は支給されない場合もあります。そのため、渡航後1~2カ月分の生活費をお持ち頂くことをおすすめします。
なお、クレジットカードでも支払いは可能ですが、念のため現金でもお持ち頂いた方が、いざカードが使えなかった時のため安心だと思います。カードメインで過ごす予定の方は、海外での支払いが可能か、支払い制限がかかっていないかを事前にご確認ください。渡航してすぐに必要となる費用としては、新居への引っ越し代、生活費、食費等です。
特に大きくかかるのが新居への引っ越し代です。2年契約の物件の場合、前払い家賃(Advance Rental)1か月分と保証金(Security Depositと言い日本では敷金と呼ばれるものです)2か月分が契約時に必要なケースが多いです。そのため、入居時に家賃計3カ月分の支払いが必要となる場合もあります。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
少しでもシンガポールという国、シンガポールで働くことや暮らすことのイメージをもっていただけたのであれば幸いです。
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※シンガポールでの就職にご興味をお持ちの方は、こちらの記事もご覧ください。
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