リモートワークが主流となり、会社と個人の関係性や、個人の仕事に対する価値観・働き方が大きく変化している中、企業はこれまで以上に自社のカルチャー、ビジョン、評価制度、キャリアプランを示していく必要がある新たな時代に突入しました。1年半前までは、社員の表情、働きぶりを見たり、何気ない会話、他部署とのやりとり、個人への声がけ、トレーニング、チームボンディングなど、様々なことが容易に且つ自然にできる環境にありましたが、今振り返るとそれは非常に贅沢な環境であったと思います。
コロナ禍で様々な制限がある中、以前同様のコミュニケーション量を保ちながら、当地で活躍するハイパフォーマーをキープするにはどのような取り組みが必要でしょうか。どういう環境であれば、彼らは魅力を感じその企業にキャリアを選択するのでしょうか。日系企業の皆さまも大いに関心があるところだと思います。ここで、貴社における「組織のヘルスチェック」をしてみてください。
下記の5つの項目のうち、貴社ではいくつ取り組まれていますでしょうか。
【組織のヘルスチェック】
透明化・見える化は進んでいますか?
カルチャーデザイン&ビルディングをしていますか?
中核を担うメンバーにナショナルスタッフ・現地採用社員はいますか?
個人に合わせたトレーニング・プロジェクトの提供は行っていますか?
ハイパフォーマーへのサクセッションプランは作成済みですか?
今回の記事では、弊社が今年7月にBeyond global社と共催いたしましたHR Forum2021「爆進アジア 転換日本 〜HR INNOVATION 時代に生きる道〜」にご登壇頂いた企業様の実際に取り組んで成功した改革の一部を事例としてご紹介いたします。
非常に参考になるお話が多く、どれも今すぐにでも取り入れていきたい対策やマインドです。
<企業様Aの事例>
企業文化は変わるものとし、時代に沿ったカルチャーを会社が改めてデザインし直した。
個人の目標管理や人事評価などを年間を通して、個人個人とすり合わせをし、家族観などを大事にしている。
社員の能力を最大限引き出せるよう、情報や目標を可視化し、あらゆる機会を共有・平等化に努めた。
マネージメント層にも意見が言いやすく、アプローチしやすい心理的安全性の確保を実現。
会社が社員にどのような未来を提供できるのかというビジョンの共有。
<企業様Bの事例>
本社と現場の横のつながり重視へ意識改革。
中核を担うメンバーに、ナショナルスタッフ・現地社員を配置。ローカルの成果の最大化が企業の成長を推し進める。
権限移譲の重要性をマネージメント層が共通認識として持ち、実際に現地支社へ委譲していく落とし込みを実践。
すべての従業員が会社案内をプレゼンできるようにするプラクティス。
<企業様Cの事例>
能力実力を成果のみで測るのではなく、行動や姿勢も含めての評価制度を導入。
マネージメント層は本国からの人財であるべきという視点から、現地において最適な人財を探しだすという視点へ。
ポテンシャルの高い人財が会社に合わせるではなく、いかに気持ちよく成長してもらえるのかを考え、サクセッションプランをカスタマイズ。
もし、貴社でまだ取り組まれていない項目がございましたら、上記各社の取り組みを参考にして、是非ご検討いただければと思います。
5つの項目を全て整えることは容易ではないかと思いますが、特にナショナルスタッフや現地採用のハイパフォーマーにとっては、風通しが良く、リコグニション(正しく評価されること)のある企業環境を求める傾向が強いことも理解しておく必要があると思います。
今後企業に求められること、そして、改革を進めていく上で必要とされるのは、“「人を育てる企業」ではなく、「人が強くする企業」”というマインドセットへ切り替えていくこと。
そして、日本での当たり前が当地では当たり前でないことを認識し、各国のカルチャーや作法を取り入れつつ、リスペクトと我慢をしながら、強固な基盤を現地で作っていくこと。
そのためには、マネージメント内でのコミュニケーション量を増やし、当地の周辺情報をしっかり共有しながら、本社側を教育し会社全体で進めていく動きを心がけること。
ぜひ、今後の貴社の体制を検討される上でご参考にして頂ければ幸いです。
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