新型コロナウイルスの影響でまだまだ世界的にも落ち着かない状況が続くなか、日本人人材の採用を検討している企業様にとりましては、求職者の動向は気になるのではないでしょうか。
そこで今回は、「シンガポール就労をめぐる日本人求職者の動向」というテーマで、人材マーケットにおける現在の求職者の状況、および今後の見通しについてお伝えいたします。
1. シンガポール在住の日本人求職者の現状
シンガポールでは、経済活動の再開とともに停滞していた採用活動も徐々に増加へと転じ、求人数もほぼ例年通りにまで回復してきました。各企業の事業状況が「維持」の状態から「復旧・拡大」へと推移していることが伺え、それに伴い国内の求職者の間でも転職の動きが少しずつ活発になってきております。
また、長引くコロナの影響を受け、業績不振や事業縮小によるレイオフやEP取得基準の厳格化に伴い現職でのビザ更新ができないことから、転職を考え始めた方々の登録数も増えております。
現在、弊社にご登録いただいている日本人求職者は、男女別でみると、男性6割、女性4割。年代別では、30代が最多で、40代、20代、50代、60代と続いております。
2. 日本からのシンガポール転職希望者の動向
日本在住のシンガポール転職希望人材はというと、コロナ以前に比べると3割ほど減少しているものの、20代から50代まで幅広い年齢層で、引き続き一定数の登録者がいる状況です。ただ、実際に就労条件を詰めていくと、給与条件やタイミングが合う候補者層はそう多くはいないといえます。理由としては、シンガポール政府による外国人雇用規制政策により、ここ数年、EPビザ取得要件が一段と厳格化されたことや、EPビザ基準を満たす人材(主に30代半ばから40代)の方の多くがご家庭をお持ちのため、お子様の学費・学校始業のタイミングや配偶者ビザ(DP)のLOC就労が廃止になったことによる影響など、考慮すべき点が複数あるためです。また、コロナ禍であることから、全体的に求職者の動きは慎重で、転職は状況次第という姿勢が目立ちます。
3.シンガポール就労をめぐる日本人求職者の今後
コロナの影響で雇用環境が大きく変わった今、シンガポールの人材マーケットは過渡期にあると考えます。シンガポールにおける日本人求職者は、就労ビザ基準の引き上げにより、職種問わず若手層(20代から30代前半の現地採用者)が減少してきており、かつDP保持者の就労制限により、シンガポールにおける日本人労働人口の母数が全体的に減少している状況にあります。
また、入国規制強化により海外からの採用が実質困難なため、採用を急ぐ企業様の多くは求人要件をシンガポール国内在住者向けのものへとシフトしてきております。
なかでも取り分け、企業様の人材需要は、就労ビザの発行が不要な永住権(PR)を持つ求職者に集中してきているのが判ります。このことからも今後は日本人永住権(PR)保持者の就職が、よりいっそう有利になり、転職市場でも貴重な存在として争奪戦が激化することが予想されます。日本人採用をご検討される際は、より競争力のある条件設定や企業の魅力付けを行っていただくことを推奨いたします。
4. 企業様の採用動向
最後に、これまでに企業様からご依頼いただいた日本人人材の求人案件を基に、弊社が独自に分析した企業様の採用動向についてご紹介いたします。
求人案件に関しては、やはり「日本人」の特性が求められるポジションが多く、対社内・対顧客とのコミュニケーションにおいて日本語が必要とされる職種においては、引き続き人材需要が高い状況にあります。
具体的には、下記3つの職種があげられます。
1. 管理職
人材やお金を管理するバックオフィスやマネジメント職。品質、コスト、納期を管理するプロジェクトマネジメント職など。
2. 日本語・日本文化に精通した職種
接客、営業、コンサルタント、カスタマーサポート、秘書。日本人との円滑なコミュニケーションが求められる職種。
3. 専門職
医師、弁護士、会計士、教職員、エンジニア、美容師など、資格や専門知識・スキルを要する職種
弊社では、人材のご紹介に加え、採用に関するマーケット調査、人材マーケットのご照会など、求人要件の定義の段階からサポートさせていただいております。
ぜひ、採用手法の1つとして人材紹介会社を上手くご活用いただき、スムーズな採用活動に役立てて頂けましたら幸いです。
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