日系企業のアジア採用 コロナで変わったこと、変わらなかったこと
3月10日(木)にJAC Recruitment アジア拠点合同で「第1回 グローバル人材戦略セミナー」を実施いたしました。アジアの中でも特徴的、かつ注目度の高いマーケットである中国・シンガポール・ベトナムの事例を中心に、JACの現地コンサルタントが、コロナを経た今、現地でどのような状況が目にされるのかを、パネルディスカッション形式でお伝えしました。概要は、下記の通りとなります。
求職者動向および採用の傾向
1. 求職者動向
中国:
COVID-19の状況に関係なく国内は活況
日本からの帰国者(経験者・留学生)が増加傾向
シンガポール:
2020年に落ち込んだ動きが回復
テレワークなど、フレキシブルな就業形態を企業に求める人が増加
ベトナム:
転職活動・意思決定ともに慎重な傾向で、流動性がやや低下
給与条件だけでなく、企業状況・業務内容を吟味する姿勢が顕著に
2. 日系企業の採用活動
中国:
積極的な事業拡大を志向するケースが多く、活況
邦人駐在員に代わる現地人材需要も強め
シンガポール:
2020年(特に上期)は、総求人数が大幅に減少
2022年は、コロナ以前並みに回復
ベトナム:
採用枠においては、拡大ベースというよりはやや抑制傾向
選考基準も以前より厳しくなり、意思決定もより慎重に
3. 採用環境の変化
中国:
日系企業だけでなく、外資系企業・現地系企業も採用意欲が高く競争激化
日系企業における給与面のビハインドを補う対策が急務
シンガポール:
相次ぐVISA条件の引き締めによって、在シンガポール人材の需要増
給与条件、働き方のフレキシビリティなどで企業間競争が見られる
ベトナム:
数少ない優秀人材に内定が集中する傾向
外資系企業(韓国系など)・現地系企業との競争激化
論点1:“良い人材”を採用するためにどう動くべきか?
パネラーからの提言:
1.マーケット情報(日系の競合情報のみならず、現地系・外資系企業動向も含め)を踏まえた採用ターゲットや要件の明確化、意図を込めた設定
2.採用主体となるラインマネジャーと人事部門の連携強化(‘丸投げ’をしないで関与する、‘ナリ’で動かず意思統一を図る)
3.現地法人と本社との連携強化(ノウハウ・マンパワー等の支援を受ける、現法事情に対する理解を深めてもらうため外部リソースを活用する)
論点2:“経営現地化”は進むのか?
パネラーからの視座:
1.ややアーリーステージにあるエマージングマーケットであっても、過去経験した以上のスピードで現地化への移管が求められる環境がある
2.シンガポール等、VISA制限を強める国については、待ったなしで進めざるを得ない状況。幹部人材について採用難易度は、確実に高まると予測。
3.日本本社における英語対応力の強化は打ち手の一つ。その一方で、現地法人への権限委譲を進め裁量権を増やすのは採用力強化に有効と考える。
まとめ
採用以前に、現行メンバーのリテンションを考える事も重要。前述した施策は、その目的のためにも機能すると考えられる。加えて、リテンション対象は、ローカル社員だけでなく、邦人管理職(駐在員)に対しても必要不可欠。外を経験して戻ってきた駐在員の本社での活用が、本社サイドのグローバル化のカギとなる。
次回は、6月上旬を目途に「第2回 JAC Recruitment 合同 グローバル人材戦略セミナー」と題しまして、実施予定です。今回も触れた「日系企業の現地化・権限委譲というテーマ」を深めるべく、アジアに展開しておられる日系企業の現地法人マネジメントをゲストにお招きし、実際のケースを紹介する内容の企画を準備中です。
また追ってお知らせいたします。ぜひ、ご参加ください!